障がいのある人たちのディーセントワークについて①
私が大学を卒業してすぐに働き始めたところが、知的障がい者通所授産施設です。
今で言う就労継続支援B型事業所になります。その福祉領域で、4つの事業所での支援を38歳まで経験してきました。
障がいのある人の働きを支援する事に長く携わってきましたので、障がいのある人の働くことに非常に関心を持っていました。
その様な中、1992年に国際労働機関(以降、ILO)がディーセントワークという目標を掲げました。ディーセントワークは、21世紀におけるILOの目標として提案されたわけです。
ディーセントワークを簡単に言うと「働きがいのある人間らしい仕事」ということです。
それを受けて、独立行政法人福祉医療機構から助成金をいただいて、「B型事業所におけるディーセントワーク研修」という研究をすることになりました。
その成果の1つとしてワークブックを作りました。インターネットでも検索できますので、みなさんも検索していただいて、プリントアウトして、ご活用いただければと思います。
今でもB型事業所での職員の研修にも十分使える内容だと思っています。
この研究は、慶應義塾大学の経済学の先生で、「障がい者の経済学」とか「刑務所の経済学」などの書籍を出されている中島先生や埼玉県立大学でリハビリテーション学専門の朝日先生と一緒に2年間研究をしました。
その中で、私は障がいのある人のディーセントワークについて8つのポイントを挙げました。
①権利の主体者・働く主体者であること
②地域社会での暮らしが提供されること
③社会から認められる役割があること
④「働けない」ことを「障がいの問題」にしないこと
⑤合理的配慮がなされ、「強み」が発揮できる環境が提供されていること
⑥ニーズに応じた様々な働きが実現できること
⑦働きに応じた正当な賃金が得られること
⑧チャレンジできる。学習できる環境が提供されていること
⑧は、B型事業所の弱い所かもしれません。長い間、同じことばかり続けていることもあるのではないでしょうか?
私が大学を卒業して働き始めた事業所を離れて2年程たってその事業所を訪問した時に、女性のご利用者が2年前と同じ場所で同じ仕事をされている様子を見て、「それ、どうなの?」と思いました。やはり、色んな事にチャレンジし、学習できる機会をつくって支援していくというのが重要ですよね。私たちも同じでしょう。同じ仕事、同じ場所ですよ。長い間、同じ環境に置かれたら意欲も落ちるし、辛いと思います。障がいのある人も同じだと思います。
障がいのある人のディーセントワークの基本として、上記の8つのポイントを挙げましたが、支援者は、それぞれのご利用者のディーセントワークの実現に向けて、支援の視点として常に持っておくことは重要だと思っています。
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